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整形外科・リハビリテーション科・麻酔科のさっぽろ病院|医療に関することは?
医療に関することは?
股関節疾患の治療について
整形外科 春藤 基之
このページ(股関節)に関するご質問はこちらまで。
≪はじめに≫
 2007年4月赴任以来、基本的に以前勤務しておりました我汝会えにわ病院の方針に準じた治療を行っています。その目標は股関節をできるだけ正常の形態、機能に戻すことにあります。
 股関節疾患の中には股関節周囲炎(肩でいうところの五十肩)や一過性大腿骨頭萎縮症など安静や投薬、リハビリテーションなどの治療でほぼ正常の状態に回復する疾患もありますが、日本人女性に多い臼蓋形成不全(骨盤の屋根のかぶりが浅い)に続発する変形性関節症をはじめ、大腿骨頭壊死症や関節リウマチなどの疾患では手術治療を要することも少なくありません。
また最近では高齢化の影響で加齢に伴ない軟骨がすり減ったり骨粗鬆症で骨がつぶれたりすることによって手術が必要になる症例も増加しています。ここでは現在当院で主に行っている股関節の手術治療(人工股関節置換術、人工股関節再置換術、寛骨臼移動術)について御紹介します。
≪人工股関節置換術≫
 対象となるのは変形性股関節症(図1)、大腿骨頭壊死症(図2)、関節リウマチ(図3)などです。ほとんどの例では術翌日から歩行訓練を開始し、階段昇降・入浴・可能であればしゃがみ込みや爪切りなどの日常生活動作も練習し術後5日で退院となります。
 殿筋内脱臼例(図4)や大腿骨骨切り後例(図5)で、転子下短縮あるいは矯正骨切りを併用した場合は筋力回復に時間がかかるため、荷重歩行は翌日から行いますが4週あるいはそれ以上の入院期間を要する場合があります。
人工股関節置換術
(図1-1:臼蓋形成不全に続発した変形性股関節症術前。骨頭は上方に脱臼した位置にあり関節のすきまも消失している。)
人工股関節置換術
(図1-2:臼蓋形成不全に続発した変形性股関節症術後。上方の骨欠損部に骨移植を行いネジで固定し、関節は反対側と同じく正常の位置になった。脚長もほぼ左右差が無くなった。)
人工股関節置換術
(図2-1:大腿骨頭壊死術前。両側とも大腿骨頭の変形が著しい。)
人工股関節置換術
(図2-2:大腿骨頭壊死術後。両側の手術を行い、骨盤の傾きも改善した。)
人工股関節置換術
(図3-1:関節リウマチ術前。関節の軟骨が消失し、大腿骨頭は骨盤内上方にめり込みつつある。)
人工股関節置換術
(図3-2:関節リウマチ術後。痛みはなくなり、脚長差も改善した。)
人工股関節置換術
(図4-1:殿筋内脱臼例術前。大腿骨頭は完全に上方に脱臼している。殿筋内のため当初は痛みがなかったが60歳を過ぎてから痛みがでてきた。関節内は骨あるいは軟部組織の損傷による出血がみられた。)
人工股関節置換術
(図4-2:殿筋内脱臼例術直後。関節を正常の位置にした結果約8cm骨頭中心が引き下がった。重要な筋肉の付着部である転子部(=図4-1白矢印)を温存するためにその下(=転子下;図4-1赤線間)で4cmのだるま落とし式の短縮骨切りを行った後に大腿骨ステムを挿入した。脚延長により筋肉の緊張が強いため外転位をとっている。)
人工股関節置換術
(図4-3:殿筋内脱臼例術後1年。短縮骨切り部は癒合し、術側も中間位をとっている。外見上は歩容もほぼ正常になった。)
 
人工股関節置換術
(図5-1:大腿骨骨切り後の例術前。大腿骨頭は上方に脱臼した位置にあり大腿骨は転子下で外反骨切りされている。)
人工股関節置換術
(図5-2:大腿骨骨切り後の例術後。関節を正常の位置にした後、先の症例と同様転子部を温存し、転子下で矯正骨切りを行った後に大腿骨ステムを挿入した。)
≪人工股関節再置換術≫
 永久にもつ人工股関節が理想ですが、残念ながら現状では人工股関節がゆるむ確率はゼロにはなりません。人工股関節置換術を受けた患者さんは定期的検診を受けて頂き、ゆるみなどの問題が生じている場合は再建が困難にならないうちに入れ替えの手術をおすすめしています。骨欠損に対しては同種骨移植などによる正常の股関節形態の回復に努めています(図6)。術翌日より荷重歩行訓練を行いますが、筋力回復に時間を要することが多く、通常2-4週の入院期間が必要です。
人工股関節再置換術
(図6-1:人工股関節再置換術前。臼蓋コンポーネント=カップがゆるんで、かなり上方に移動している。)
人工股関節再置換術
(図6-2:人工股関節再置換術後。臼蓋外上方の骨欠損部をメッシュで覆った後に骨移植を行い正常の位置にカップを設置できた。)
(手術のながれ)
入院前
既往症のチェックの他に外来で血液検査や胸部レントゲン撮影などを行い手術に支障がないことを確認します。
ほとんどの症例では自己血貯血は行いませんが、転子下骨切り合併例や再置換例など出血が多く見込まれる場合は手術の数週前に外来で400mlの自己血を採取する場合があります。
自立支援医療(更生医療)の手続きが必要な場合は入院まで約1か月を要します。


入院後
基本的にクリティカルパス(図7)に沿った経過になります。
通常手術の前日に入院、手術は全身麻酔で行い、手術時間は1時間程度ですが、転子下骨切り合併例や再置換例では手術時間も長くなります。
手術後はなるべく動作・荷重制限なく、早く日常生活に復帰することを目標にリハビリテーションをすすめていきます。手術翌日から離床、歩行訓練を行います。
抗生物質の点滴は翌朝で終了、創は皮下縫合後テープで留めているので抜糸はありません。通常2日目で入浴(シャワー浴)可能、2-3日で杖なし歩行が可能となる例が大半です。前述のように通常の人工股関節置換術では5日で退院を目安にしています。
人工股関節再置換術
(図7:人工股関節置換術のクリティカルパス)
人工股関節置換術のクリティカルパスの詳細はこちらをご覧ください。
退院後
まず1か月めに外来受診して頂きX線写真を含めて股関節の状態をチェックします。その後も最低1年に1回は再来して頂いています。
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≪寛骨臼移動術(前方進入による寛骨臼回転骨切り術,Curved Periacetabular Osteotomy;CPO)≫
 日本人女性に多い、臼蓋形成不全(図8)を正常の形態(図9)にする治療法です。若年の初期関節症例が多く、仕事や家庭あるいは学校の授業などの関係で早期に退院を希望される患者さんが少なくありません。従来は股関節の外側を展開する田川法(図10)や経大転子法(図11)で行ってきましたが、現在は皮膚切開や筋の展開が比較的少ない前方進入法;CPO(図12)を採用し、より早期の日常生活復帰を目指しています。
寛骨臼移動術
(図8:臼蓋形成不全。臼蓋荷重部が傾斜し、骨頭頂点を覆っていない。)
寛骨臼移動術
(図9:正常臼蓋。臼蓋荷重部が水平で、骨頭頂点を均等に覆っている。)
寛骨臼移動術
寛骨臼移動術
(図12-2:術前。臼蓋荷重部が傾斜し、骨頭頂点を覆っていない。)
寛骨臼移動術
(図12-3:前方進入法による寛骨臼移動術後。臼蓋荷重部が水平化し骨頭頂点を均等に覆っている。)
(手術のながれ)
入院前
既往症のチェックの他に外来で血液検査や胸部レントゲン撮影などを行い手術に支障がないことを確認します。
ほとんどの例で手術の数週前に外来で400mlの自己血を採取します。


入院後
基本的にクリティカルパス(図13)に沿った経過になります。
通常手術の前日に入院、手術は全身麻酔で行い、手術時間は1時間程度です。早期の荷重が可能となるように金属性の太いネジで骨切り部を固定しています(通常ネジの抜去はしていません)。
手術後はなるべく動作・荷重制限なく、早く日常生活に復帰することを目標にリハビリテーションをすすめていきます。手術翌日から離床、歩行を許可していますが初めの2-3日は動作時痛もあるため、軽く足をつけるのがやっとという患者さんが多いようです。抗生物質の点滴は翌朝で終了、創は皮下縫合後テープで留めているので抜糸はありません。通常2日目で入浴(シャワー浴)可能です。個人差がありますが、1週までには歩行器から両松葉杖歩行、1−2週目で片松葉杖歩行が可能となります。約2-3週で片松葉杖で退院を目安にしています。
寛骨臼移動術
(図13:寛骨臼移動術のクリティカルパス)
寛骨臼移動術のクリティカルパスの詳細はこちらをご覧ください。
退院後
まず1か月めに外来受診して頂きX線写真を含めて股関節の状態をチェックします。骨切り部の癒合が得られる術後2-3か月までは原則的に松葉杖あるいはT字杖を使用して頂きます。
≪おわりに≫
 以上、当院で主に行っている股関節疾患に対する手術治療について御紹介しました。今後もできるだけ正常の形態、機能をもつ股関節に戻るように、そして回復がより速やかで、その状態が永続するような治療を目指して努力したいと思います。
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